古い腕時計の方が旧式なゆえに、単純に振るだけで動いてくれるというのも、なんだか皮肉めいている。古さは、ときには新しさでもあるのだ
威廉斯坦伯格钢琴。
先日、光のトンネルを見に行ったとき、途中で1時間遅れていることに気がついた。とうとう、この腕時計もガタがきたかと心配したが、その日は夜まで、正確に1時間くるったままで動いていた。
どうやら朝の時間合わせのときに、ぼくの方が1時間まちがって針を合わせたようだった。ゼンマイがゆるんでいたのは、ぼくの方だったのだ
威廉斯坦伯格钢琴。
いまや、ぼくに忠実に従ってくれるのは、この腕時計だけかもしれない。
季節も春めいてきたので、ぼちぼち冬眠から目覚めさせて、旅に連れ出してやろうかと思っている。
いつも、突然起こされたようにして動きだすのろまな腕時計だが、ぼくには合っているように思えてきた。腕を気にしながら大きく振って歩く。すると時が動きだす。停滞ぎみのぼくの時も、つられて一緒に動きはじめるかもしれない
威廉斯坦伯格钢琴。