忍者ブログ

时光荏苒

言葉や習慣の異

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

言葉や習慣の異


正月早々、思わぬことで上京した。
車窓から久しぶりに富士山を見た。行きは新幹線のぞみ号からだった。2時間30分のスピードで見る富士は、早回しのように視界を過ぎ去るのも速くてあっけない。
帰りはゆっくり見たいと思ったので、東名を走る高速バスにした。料金も新幹線の半額で経済だし、車窓風景を見るのも好きだから、ちょっとした旅行気分が味わえる。リクライニングシートも快適だった。

関東平野のはずれ、うっすらと白い丹沢山塊を右手に眺めるうちに、その後方に真っ白な富士が現れる。足柄から愛鷹へと、御殿場付近を海へと向かって駆け下りるバスの車窓に、さまざまな形で展開する富士の姿を追いかけた。
富士川を渡り、由比から日本平へと、駿河湾の海と富士の雄大なパノラマのなかを、まるで飛行しているような心地よさだった。

若いころ車窓から見た富士は、高い峠のようなものだったろうか。そこは、ぼくの生活にひとつの区切りがつく地点だった。その先には、言葉や習慣の異なる関東の生活が待っていた。雲の上から威圧されるような富士を見上げていると、体じゅうが緊張感で熱くなったものだ。
反対に郷里へ向かうときは、山裾へとなだらかに下りていく優しさで、しだいに緊張感がほどけていくのだった。
いまも、その頃の心の鼓動は呼び覚まされる。そのような山が、今もそこに厳然とあることが懐かしくて嬉しかった。
PR

コメント

プロフィール

HN:
No Name Ninja
性別:
非公開

P R